RESEARCH
研究内容
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ネットワーク仮想化技術
5G/Beyond 5Gを活用して自動運転技術など様々なネットワークサービスを提供するためには、サーバー、ルーター、LANカード、通信回線などで構成される物理ネットワークを仮想化し、複数の論理ネットワークに分割するネットワーク仮想化技術(ネットワークスライシングとも呼ばれる)が重要な役割を果たします。また、高画質動画やVR等の様々なサービスを膨大なトラヒックが流れる通信ネットワークを介して提供するために、通信ネットワークを柔軟に制御・運用して利用する必要があります。このような柔軟な制御・運用・利用を実現するために、ネットワーク機能を仮想化して通信ネットワークに配置可能なNFV (Network Function Virtualization) の利用も進められています。このNFVは、通信ネットワークの運用コストを削減する効果も期待されています。
このネットワーク仮想化技術やNFVを有効利用するために、本研究室では、これらの制御を行うコントローラを最適に配置する研究や、仮想化されたネットワーク機能を効率的に利用する研究に取り組んでいます。これらの研究では、研究目標を実現するための最適化問題を定式化し、最適化問題の解をメタヒューリスティックアルゴリズムや発見的アルゴリズムで求めることで目標の達成を目指しています。
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分散機械学習のための通信技術
ディープニューラルネットワーク(DNN)モデルを大規模なデータセットで学習するには膨大な学習時間が必要となります。そのため、学習モデルや学習データを分割し,複数のサーバ,プロセッサを用いて学習を行う分散深層学習の利用が期待されています。このような分散学習を用いる環境では,プロセッサ間で学習パラメータなどの各種データを通信する必要があり,通信時間が分散学習システムのスケーラビリティに大きく影響します。そのため,分散学習で発生する通信時間コストを削減することが重要です。
また,分散機械学習環境のひとつである連合学習では,複数のユーザーがもつデータを一か所に集約させずに分散した状態でローカルに学習を行い、各ユーザーが中央サーバーと通信しながら協力してグローバルな学習モデルを生成していきます。この連合学習では、各ユーザが積極的に参加しない限り高精度なグローバルの学習モデルを成績できないため、各ユーザが積極的に参加するメカニズムが必要となります。
そこで本研究室では、分散深層学習に対してデータ圧縮技術を利用した通信スケジューリングの確立や、差分プライバシを導入した連合学習に対するインセンティブメカニズムの確立を目指して研究に取り組んでいます。
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通信ネットワークのAI活用
第5世代移動通信システム(5G)の商用開始やスマートフォン・IoT機器の急速な普及に伴い、ネットワークを流れるトラヒック量は今後、爆発的に増加することが見込まれています。また近年、ICTの活用や技術革新を背景としてVR/AR、スマートホーム、遠隔医療、車の自動運転等の新たなサービスが創出され、それぞれのサービス毎に多種多様なサービス要件(高速大容量、多数同時接続、高信頼・低遅延)が求められるようになっています。
これらの大量のトラヒックとサービス要件を満たすために、通信ネットワークに対してAI(人工知能)を活用し、サービス要件分析やネットワーク資源の最適配分を行うことが期待されています。
本研究室では、ネットワークスライス(サービス要件ごとに仮想的に分割したネットワーク)に割り当てられる各種資源(ノードのCPU、メモリ、リンクの帯域等)を利用状況に応じて調整する際や、Bluetoothで室内の位置を測定するためにAIを活用する研究に取り組んでいます。
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オープンソース言語によるネットワーク研究開発
従来の通信ネットワークは通信機器ベンダ(販売事業者)が開発して販売する通信機器を購入して構築されており、通信ネットワークで利用できる機能や性能、導入・運用にかかるコストなどは各ベンダが販売する通信機器に大きく依存しています。このような通信ネットワークは柔軟性に劣り、情報通信技術の急速な進化に対応することも難しくなりつつあります。
このような状況を打破するために、誰もが自由に扱うことが出来るオープンソースのプログラミング言語で通信ネットワークのコントロールプレーンやデータプレーンを開発することが可能になりつつあり、通信ネットワークのオープン化が進められています。
本研究室では、データプレーンをプログラミング可能なオープンソース言語P4 (Programming Protocol independent Packet Processors) を利用して,サービス品質が保証されたネットワークスライスに対する高速障害復旧技術を開発しています。この技術で利用する障害検知技術や帯域制御技術、障害復旧技術などをP4で開発することで、希望する人は誰でも本技術を利用することが可能となります。